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12段階のエビデンスレベル

 

科学は日進月歩で進化していますが、現在の医療現場や治療院などで行われている診断や施術は施術者個人の知識や経験、また昔からの古い習慣から行われているものが多いです。

 

また、動物実験を無理に人間に当てはめて考えたり、権威者の意見が何年も変わらずに尊重され続けたりと、根拠の薄い理論で治療に当たっているのが現状です。

 

しかしこれは効果がないどころか、時には有害な結果を招く可能性があります。

 

 

 

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(捕捉)

 

これまでに発表されている学術論文は1500万件以上で、毎月5000種類の学術誌が刊行されています。

しかしそうした研究論文も人間が行う調査なので完璧ではなく科学者の見解はよく変わります。 

 

また、研究の仕方に問題があったり欠陥があることで、改めて研究されることで全く逆の結論がでるということも珍しくなく結論が相反する論文が多いです。

 

特にこれは健康情報ほどその傾向にあります。

 

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そこで、医師に関わらずセラピストの一人一人が、正しく科学的根拠に基づく知識を提供しなければいけないと感じています。

 

 

では、科学的根拠とは何か?

 

 

それはエビデンスがしっかりしているかどうかだと思います。

 

しかし、そのエビデンスにもレベルがあることをご存知でしょうか?

 

 

 

エビデンスレベルとは?

 

「エビデンスがある」と聞くと、しっかりと調査をして科学的な証明がされていると思うかもしれませんが、実はエビデンスにもレベルがあり、信憑性の高いエビデンスから、信憑性に欠けるものも多く存在しています。

 

そこで、エビデンスについて知っていただくためにエビデンスレベルについて紹介していきます。

 

 

エビデンスレベルは「1a」や「A」など様々な表現がありますが、ここでは分かりやすく「1〜12」で記載いたします。

「級」と同じように、数字が小さい方がエビデンスレベルが高い(信憑性が高い)と思ってください。

 

 

 

 

エビデンスレベル12 【患者の個人的な体験】

患者自身の体験談なので、科学的な根拠はほとんど含まれません。

 

 

 

エビデンスレベル11 【動物実験】

マウスなどを使った動物での事件です。当たり前ですが、マウスと人間では体の作りが異なるので、正しい効果は分かりません。

 

 

 

エビデンスレベル10 【施術者の個人的な知識や経験】

施術者の経験での結果なので、どうしても偏った意見や結果になりがちです。

 

 

 

エビデンスレベル9 【症例報告】

個々の症例を報告するもので、珍しいケースや失敗例などの臨床経験を紹介することで今後の研究や治療に役立てようというものです。

 

 

 

エビデンスレベル8 【複数の症例報告】

エビデンスレベル9の症例報告の数が増えたものです。

 

 

 

エビデンスレベル7 【症例対照研究】

すでに病気にかかった患者と年齢や性別などが同じような健常者を対象に、病気の原因と考えられる因子を過去に遡って比較調査する研究です。

 

 

 

エビデンスレベル6 【非ランダム化比較試験】

患者を本物の治療を加えた群と、プラシーボ(疑似治療)や従来の治療群などに分けて、各群の治療成績を比較調査する方法です。

 

 

 

エビデンスレベル5 【二重盲検法を用いた非ランダム化比較試験】

二重盲検法とは、ある治療法の効果を調べる時に、患者が受ける治療が本物なのか、効果のないプラシーボやシャムトリートメント(見せかけの治療)なのか、治療者にも患者にも分からないようにして行う臨床試験のことです。

どのような治療法でも、その成績には治療者と患者の期待感が反映されるものです。

そこで両者を二重のカーテンでさえぎり、第三者が評価することで治療成績を左右する心理的影響を排除する方法です。

その上で、エビデンスレベル6の非ランダム化比較試験を行います。

 

 

 

エビデンスレベル4 【コホート研究】

数千人から数十万人の多数の集団を対象に、ある因子が体に与える影響を長期的(数年~数十年)にわたって追跡調査し、その因子と健康や病気との関連性を分析する方法です。

 

 

 

エビデンスレベル3 【ランダム化比較試験】

患者を本物の治療を加えた群と、プラシーボや従来の治療群とに無作為に割り付け、治療成績を比較調査する方法です。

無作為に割り付けるのは、サンプルに偏りを防ぐためです。

例えば、治療に協力的な患者と非協力的な患者、症状の長い患者と短い患者、老若男女などの違いは治療成績に大きな影響を与える可能性があります。

なので、そうした偏りを防ぐためにサンプルを無作為に抽出します。

 

 

 

エビデンスレベル2 【二重盲検法を用いたランダム化比較試験】

二重盲検法とは、ある治療法の効果を調べる時に、患者が受ける治療が本物なのか、効果のないプラシーボやシャムトリートメント(見せかけの治療)なのか、治療者にも患者にも分からないようにして行う臨床試験のことです。

その上で、エビデンスレベル3のランダム化比較試験を行います。

 

 

 

エビデンスレベル1 【システマティック・レビュー】

ある特定のテーマに関して行われた過去の研究データを収集し、さまざまな角度から批判的に検討するという方法です。検討対象となる研究はランダム化比較試験、つまりレベル3以上の研究が望ましいとされています。

 

 

 

 

 

まとめ

 

さて、エビデンスレベルについてまとめてみましたが、いかがだったでしょうか?

これを見ると、一般的に言われる「エビデンス」にもいかに多くの種類があるのかが分かると思います。

 

 

個人的には、「科学的」という視点でみると少なくとも数千人以上の症例結果と長期的な追跡調査が必要だと思います。

つまり、レベル4以上のエビデンスならば信憑性が高いのではないかと思います。

 

 

ただし、エビデンスレベルが低い施術だからといって全く効果がないともいいきれません。

エビデンスがなくても、実際によくなっている人がいるのも事実です。

 

なのでエビデンスが全てではありませんが、少なくともこれらのエビデンスレベルを理解しておくことで、あなた自身もレベルの低い情報に振り回されずにすむはずです。

 

参考になれば幸いです。

 

 

参考書籍:長谷川淳史「腰痛は終わる」